ムラ・アイデンティティ

集落マニアによるブログです。「街の見方を知ったら、街はもっと面白くなる。」

中世から続く三陸沿岸のムラ|宮城県石巻市雄勝町大須浜集落その1

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東日本大震災から丸8年が経過した。

震災の爪痕は大きく、失われたものは多い。震災後、石巻で様々な活動をご一緒する機会に恵まれた筆者にとっても考えさせられることは多い。失われた人命が何よりの損失であり、最も大切なものであったことは論をまたないが、同時に美しい建築や集落が失われてしまったのも悲しい現実である。

三陸沿岸部は昔から津波被害に悩まされてきた地域であり、古くは江戸時代の慶長の津波、明治、昭和、チリ津波と続く。正確な記述は少なくなるが、その前も幾度となく被害を受けてきた地域である。

一方で、三陸沿岸部は世界三大漁場の一つに数えられる恵まれた漁場を有するため、古くから人が住み着いた地域であり、文化的尺度は極めて長いと推測される。昔からの景観を伝える地域の価値は決して軽視できるものではないだろう。

 

石巻市雄勝半島の大須浜集落。三陸沿岸に残る美しい漁村集落である。大須浜は、微高地上に位置するため、昔ながらの敷地割りや民家が残る漁村集落が存在している。

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このムラ、狭い路地の中に民家がぎゅっと形成されている。道を歩いているといつのまにかどなたかの家の玄関にたどり着き、前庭を通って隣の道に向かう。どこからどこまでが私有地なのかわからない。道を歩くといたるところに井戸があり、前庭には魚をさばける屋外水道があったりする。今も現役の共同井戸もある。塩の香りと昔の趣を感じる。そんな地域。

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そろそろこのムラのベストシーズンが始まる。

濃厚な潮の香りが口の中に広がる絶品のうに。ムラの中の民宿で食べられます。昼は美しい集落を堪能し、夜は美味しい海産物に舌鼓を打つ。そんな幸せな休日はいかがだろうか。