ムラ・アイデンティティ

集落マニアによるブログです。「街の見方を知ったら、街はもっと面白くなる。」

重厚な屋根と堅牢な建築|対馬の石屋根

以前の記事で書いたスレート屋根の地域・石巻市雄勝町は、実は日本の中で5指に入る有名な石を使った建築の産地。

石の建築で有名なのは、

・宮城の玄昌石(スレート屋根)

・栃木の大谷石

・長野の鉄平石

・東京のコーガ石

があげられる。

今回はこれらの一つ、対馬の石屋根のお話。

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日本と韓国の中間くらいにある対馬。島国では、島の中のものを使って建物を建てることが多い。奄美大島もそうだったが、だからこそ独特の島の建築文化が形成される。

対馬で形成されたのは、大きな石の屋根。島の中で取れる材でできた屋根は、同時に堅牢な建築構法も生み出す。柱は平柱という長方形断面のもので、床は少し上がった穀物をしまえる工夫も。

強風でも屋根は飛ばされることはなく、ちょっとやそっとの火災からも大きな石の屋根が守ってくれる。堅牢な建築は長い間地域を守ってきた。

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家から少し離れたところに小屋を建てる「群倉」。これも離島や辺鄙な地域の生活の知見。万が一家に被害があっても、倉に食べ物や生活に必要なものが残る。だから家から離れた、災害のリスクの小さい場所にまとめて倉を設ける。

 

対馬、生活の知恵がたくさん。