ムラ・アイデンティティ

集落マニアによるブログです。「街の見方を知ったら、街はもっと面白くなる。」

ムラの共通項:三重県尾鷲市の石垣

ムラ歩きで最も基本となる視点は、街の「共通項」探し。

一つのムラでおんなじような特徴が見られたら、それはそのムラの特色かもしれないし、隣り合ったムラでも一緒だったら、それはきっと地域規模での特色なのだろう。

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同じ方向の屋根が並ぶ景観。筆者知人撮影。

屋根の方位で最も有名なのは白川郷の屋根の向き。現在の白川郷の屋根の方位はみんな東西を向いている。

それが南北になると...、

豪雪の白川郷では、片方の屋根だけ雪が残り、屋根が片方だけ急激に腐っていく。そして建築が朽ちてしまうから、現在の方位に落ち着いていると言われている。実際に一度間違った方位で移築された民家は、程なくして方位を揃えることになった。そして、間違った方位で家が建ったとき、他の世帯はすぐに気づいたという。そして地域の景観の問題として扱われた。

今回の漁村の屋根向きがなぜこうなのかはまだ調べていないが、特徴的ではあった。

 

他の例を挙げるとしたら「蛇口」。

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写真は高知の漁村。筆者撮影。

漁村を歩いていると家先に蛇口がついていることをよく目にする。魚を家の外ですぐに捌けるように、という話を聞いたこともある。真相は地域によるのだろうが、漁村ならではの共通する振る舞いであり、それらが表出したものとして、「蛇口」があるのだろう。

 

さて、三重を歩いていて気になったのが、3-4m程度ある「石垣」。

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実はこれも災害対策。実際にとある集落の石垣には、昭和の東海地震津波の波高が書かれていた。漁村の石垣は、実は街を守ってくれたツール。

今でいう高台移転地。

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 建築や景観は、時に地域の歴史や文化を雄弁に語ってくれる。